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第37回みちのく会 山形大会レポ(2)
「みちのく会」スタート。まずは「一人一話」前半戦。(2011年2月26日昼下がり)
タクシーは3回信号につかまって,ぴったり10分間の走行。
やっと会場着。幹事の人がぎりぎり間に合いましたと言う。参加者32名の内で,予定より遅れたのはわたしとKさんの北海道勢2人だけらしかった。
「これぞブラキストン線の魔力」と呼んでもらおう。
会議室の主役はプレゼン用のスクリーンである。
これは日々ライトトラップで命を失っていった蛾たちの呪いに違いない。今度は蛾屋たちがトラップに捕らえられ,毒壜ならぬ蛸壺へと閉じこめられていくのである。
大会要項。
今大会のシンボルマークはババエダシャク。マニアックではあるが,でも地味シャク。
大会幹事長と,なぜか来ていた地域の偉い人が挨拶。何を話していたか覚えていない。
いよいよ「因習の隠れ家」である「一人一話」が始まる。ここから本番。
わたしは朝早かったし,大雪だったし,「クマと遊ぶ」だし,9台もの乗り物に揺られたので存在が疲労産廃。以下のメモはテキトーだからね。
回覧で回ってきた北海道のコケガ。
右端の亜外縁線の太いのは,わたしは見たことがない。
メモ追いつかず。マクロ恐るべし。
- キリガ,アツバ,ギンガの幼虫のほとんどは糞を外に落としていくが,糞を残す蛾もいる。
- キンモンホソガ類〔葉潜りである〕は,マツダを除いて糞を残していく。
- コナラキバガも,巣の中に糞をためておく。
- フタスジシマメイガは,巣の両側に残す。擬態の一種?
- カバカギバヒメハマキの終令幼虫は,それまでの糞を用いて巣の補強をするようである。
- ヒメトビネマダラメイガは糞をすべて巣に利用する。
- etc.
『日本の鱗翅類』(東海大学出版会)。絶賛発売中。
注文しました。
『日本産蛾類標準図鑑』1・2巻が4月発売予定。マクロ編である。ミクロ編は来年。
amazonで予約が始まってますなあ。出てから買います。(「来年以降」の誤りらしい)。
ムモンの世界が始まった。オオメイガはよく知らない。
♂も♀も,翅型・サイズでは区別できない。『大図鑑』などでは,♀の anal taft(尻の毛束)が前者は黒,後者が白とされているが,実際には使い物にならない。でも切ると2種は全然違っている。〔交尾器でしか区別できないということ〕
秋田では,ムモンが低湿地,ニセムモンがやや高地の湿地で発生。♂の前翅が淡い茶褐色の場合はニセムモンの可能性が高い。
学研の標準図鑑では,食餌植物の分類に新体系(APG)が用いられている。なかなか馴染みにくいのだが,例えばオオノコメエダシャクの食草であるキブシとミツバウツギがAPGでは隣接して置かれており,なるほど良く対応しているのが分かる。
コヤガと寄生アメバチとの関係を追跡中。昨年,ある木に10個の繭を見つけ,現在3個飼育中。次は幼虫を探したい。蜂の繭は糸の先にぶら下がっているのだが,その糸がどのように作られたか確認したい。
ムツトゲイセキグモの番組を作ったNHKから依頼があって捕らえた蛾の同定を行った。どうやらフキノメイガの♂である。
フェロモンによる化学擬態といわれているが,フキノメイガのシーズン以外は何を捕らえているのが疑問だった。
NHKのスタッフは放送終了後も取材を継続していて,また蛾が送られてきた。今度は,フタオビキヨトウとスジキリヨトウである。フェロモンの専門家に訊くと,この3種のフェロモンは環が少し違うだけでよく類似しているという。
ナゲナワグモに限らず,クモの糸はひょっとしたら案外色々な化学物質を出しているのかもしれないと考えると面白い。
ハゴロモヤドリガを採集。
会場から「6〜7月にクズの葉の表で繭を見ることができる」とのコメント。
まだまだ終わらない。これは予定通り。これは業とか妄執とかのレベルである。
まだ続く。
【(3)へ続く】