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シャクガ科 ナミシャク亜科
Trichopteryx属 (a〜m)
(とりこぷてりくす)
【命名】 Hübner, 1825
【タイプ種】 Geometra lobulata
【原記載】 Verzeichniss bekannter Schmettlinge: 323
【意味】 [ギ]thrix(毛); pteron(翼)。「毛の生えた翼」。
前節"tricho"(τρι…)について,"thrix"(θρι…)は属格で"trichos"(τρι)となるので文法的には「毛」で問題ない。しかしこの由来,何が「毛」なのかは原記載に記述がなく意味不明である。
おそらくそのことを配慮してか,Emmetは"tricha"(3つの部分)で解釈すべきとし,この属に見られる後翅の袋状の器官を「3つ目の翅」に見立てたものと述べている(ESM, p. 177)。しかし命名としては"Tricho"は「毛」であるのが通例だと思う。
【和名】 ホソクロオビシロナミシャク
【学名】 Trichopteryx auricilla
(とりこぷてりくす あうりきるら)
【命名】 Inoue, 1955
【原記載】 Tinea 2: 75
【意味】 [ラ]auricilla(耳たぶ)。
原記載には記述なし。おそらく,♂後翅の袋に由来。
【和名】 シロシタコバネナミシャク
【学名】 Trichopteryx fastuosa
(とりこぷてりくす ふぁすつおーさ)
【命名】 Inoue, 1958
【原記載】 Tinea 4: 246
【意味】 [ラ]尊大な,壮麗な。
原記載に記述なし。印象による命名と考えられる。
【和名】 シタコバネナミシャク
【学名】 Trichopteryx hemana
(とりこぷてりくす へまな)
【命名】 (Butler, 1878)
【原記載】 Annals and magazine of natural history (5) 1: 444 (Larentia)
【意味】 [ギ]haima(血); -anus(接尾辞)。「血の」。
原記載に記述なし。おそらく,前翅後縁の赤い部分に由来。
【和名】 ハイイロコバネナミシャク
【学名】 Trichopteryx ignorata
(とりこぷてりくす いぐのーらーた)
【命名】 Inoue, 1958
【原記載】 Tinea 4: 245
【意味】 [ラ]ignoratus(知られていない,未知の)。
原記載には記述なし。おそらく,hemana(ハイイロコバネナミシャク)と混同により知られていなかった状態にあったことから。
【和名】 ヒメシタコバネナミシャク
【学名】 Trichopteryx microloba
(とりこぷてりくす みくろろば)
【命名】 Inoue, 1943
【原記載】 Transaction of Kansai Entomological Society 12(2): 9
【意味】 [ギ]mikros(小さい); lobos(垂れ下がっているもの,袋状の突出)。
原記載「袋は,日本の他の同属種よりずっと小さい」。
【和名】 ウスミドリコバネナミシャク
【学名】 Trichopteryx miracula
(とりこぷてりくす みーらーくら)
【命名】 Inoue, 1942
【原記載】 Transaction of Kansai Entomological Society 12(1): 11
【意味】 [ラ]miraculus(ひどく醜い,奇妙な,驚くべき)。
原記載に記述なし。この語は語源的には「醜い」だが,この命名者はネガティブな命名を行わないので,解釈としてはおそらく「驚くべき」だろう。
【和名】 クロシタコバネナミシャク
【学名】 Trichopteryx misera
(とりこぷてりくす みせら)
【命名】 (Butler, 1879)
【原記載】 Annals and magazine of natural history (5)4: 443 (Lobophora)
【意味】 [ラ]miser(惨めな,卑しい)。
原記載に記述なし。おそらく印象による命名。Butlerは否定的な命名を避けない。
画像は,Seitz, 1914, Macrolepidoptera of the world 4, pl. 11c (Nothopteryx) から。
190317
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