カギバガ科 トガリバガ亜科
Habrosyne属
(はぶろしねー)
【命名】Hübner, 1821
【タイプ種】Phalaena derasa Linnaeus, 1767
【原記載】Verzeichniss bekannter Schmettlinge: 236
【意味】[ギ]habrosyê(=habrotês。豪華な,贅沢な)。
原記載には明記されていない。おそらく印象に由来する命名。
【和名】ヒメウスベニトガリバ
【学名】Habrosyne aurorina
(はぶろしねー あうろーりーな)
【命名】(Butler, 1881)
【原記載】Transactions of the Entomological Society of London 1881: 171 (Gonophora)
【意味】[ラ]aurora(夜明け,東方,曙の女神アウローラ); -inus(接尾辞)。
多義的で意図を特定しがたいが,原記載では日本産のこの種と北米産のGonophora scripta(Habrosyne scripta,日本未産)とを比較しての記述がなされていることから,「東方の」とする解釈の蓋然性が高い。
画像は,Fixsen, 1887, Mémoires sur les lépidoptères 3, pl.15, fig. 12 (Thyatira möllendorfi) から。
【和名】ウスベニアヤトガリバ
【学名】Habrosyne dieckmanni
(はぶろしねー でぃーくまんいー)
【命名】(Graeser, 1888)
【原記載】Berliner entomologische Zeitschrift 38: 148 (Gonophora)
【意味】[人名]Dieckmann;[ラ]-i(属格語尾)。「ディークマンの」。
原記載には「この種をハンブルクのディークマン氏に献名」。
Dieckmannについては不詳。おそらく,H. Wilhelm Dieckmann。この頃(19C末)のハンブルクの商人で,沿海州において採集活動を数回にわたって行っていることで知られている。
【和名】オオアヤトガリバ
【学名】Habrosyne fraterna
(はぶろしねー ふらてるな)
【命名】Moore, 1888
【原記載】Proceedings of the Zoological Society of London 1888: 406
【意味】[ラ]fraternus(兄弟の,同類の)。
原記載において,H. indica(タイワンアヤトガリバ)との相違点が詳述されている。逆にいえば,紛らわしいほど似ているということだろう。
画像は,Butler, 1889, Illustrations of typical specimens of Lepidoptera Heterocera in the collection of the British Museum 7, pl. 75, fig. 11 から。
【和名】カラフトアヤトガリバ
【学名】Habrosyne intermedia
(はぶろしねー いんてるめでぃあ)
【命名】(Bremer, 1864)
【原記載】Mémoires de l'Académie impériale des sciences de St.-Pétersbourg (7) 8 N°1: 46 (Thyatira derasa var.intermedia)
【意味】[ラ]intermedius(中間の)。
おそらく,原記載「Noor〔湖。バイカル湖?〕とEma〔不詳〕の間で,Maackにより見つけられた」に由来。
【和名】アヤトガリバ
【学名】Habrosyne pyritoides
(はぶろしねー ぴりといーです)
【命名】(Hufnagel, 1766)
【原記載】Berlinisches Magazin 3 (4): 400 (Phalaena)
【意味】[ラ]pyrites(火打ち石); -oides(接尾辞。〜の姿をした,のような)。
原記載「火打ち石。透明な火打ちのようなオリーブ色の,灰色の,地肌」。前翅基部に由来。
日本の亜種は,H. p. derasoides (Butler, 1878)。「derasa種の姿をしたもの」。
バトラーが別種と見なしたH. derasaは現在同一種とされており,学名としてはHufnagelがLinnaeusに先取しているため現在は"pyritoides"が用いられる。
200801
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