ウスイロカギバ Callidrepana palleola (Motschulsky)

カギバガ科 Drepanidae  カギバガ亜科 Drepaninae

ウスイロカギバ

07年8月24日。苫小牧市樽前,錦大沼公園アルテン。前翅長18mm。

夏〜初秋の蛾。

■ウスイロカギバとギンモンカギバ。

ちょっと分類上ごたごたしたらしい。ギンモンカギバとの問題である。

保育社『蛾類図鑑』では「ギンモンカギバ」の項目に次のように書かれている。

前翅中室端に暗褐色の横脈紋のあるものをf.crassimaculata Inoue,横脈紋のないもの(従来ウスイロカギバと呼ばれていた)をf.palleolus Motschulskyという。

(下巻,p.4。強調引用者)

どうやら,別種扱いだったものが,一時期統合されていたらしい。ギンモンカギバの紋については「みんな蛾」の「ギンモンカギバ」の記事を参照されたい。紋の変異は確かに蛾の世界ではありふれている。

それがまた分離する。講談社『蛾類大図鑑』。

前翅の横脈紋は常に存在し,異常型でない限り,長方形状で中央や上方に黒褐色鱗が多い。

(「ギンモンカギバ」,p.414)

前種(ギンモンカギバ)とごく近縁だが,本種には有紋型と無紋型がある。有紋型は前種と混同しやすいが,前翅横脈紋が卵形で,黒褐色の鱗粉をほとんどまぜない。

(「ウスイロカギバ」,p.415)

画像の個体は無紋型なので確実にウスイロカギバ。有紋型はまだ見ていない。

ウスイロカギバ

同日,同個体。

翅に無駄に力が入って波打っている。灯火の下で,翅の表面に浮かぶ陰影が奇妙な感じを与える。

■ウスイロカギバの学名。

学名はCallidrepana palleola

ウスイロカギバ

06年8月27日。苫小牧市樽前,錦大沼公園アルテン。前翅長14mm。


属名は「美しい+鉤」。種小名は「青みがかった」。

どうだろう。英語のpaleと同じだから「青白い」とか「色あせている」ニュアンス。

■コンデジ画像で触角。

ウスイロカギバは大抵はうつむいて,ご尊顔を拝む機会はあまりない。チャンスの時に限ってカメラが故障していたりする。

下はコンデジでの画像。わたしはコンデジで夜間に上手く撮る技術はない。

 

ウスイロカギバ

07年7月30日。苫小牧市樽前,錦大沼公園アルテン。未測定。思いっきりトリミングしている。

まずまずの櫛歯。おそらく♂だと思われる。ウスイロカギバも他のカギバガ同様に,♂が長い櫛歯,♀がごく短い櫛歯とのこと。

○『日本産蛾類大図鑑』;講談社

○『原色日本蛾類大図鑑(下)』;保育社


(2008/02/02)

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