ヒメクロツチカメムシ Geotomus palliditarsus (Scott)

ツチカメムシ科 Cydnidae

ヒメクロツチカメムシ

06年5月20日。苫小牧市高丘,緑ヶ丘公園。あまり上手く撮れていない(現在なら,もっと〜)。


計測していないが体調は5mm弱。直前まで早出のマグソコガネを散々撮っていて,飽きてきた時に 発見(*゚Д゚) 。マグソよりも小さい。ツチカメムシは初めてだった。

ヒメクロツチカメムシ

同年同日。このとおりのサイズ。


さて同定がやっかい。候補は体長から「マルツチカメムシ」,「ヒメツチカメムシ」,「ヒメクロツチカメムシ」である。ここから「ヒメツチ」は分布(本州以南)から除外。残り2種だが,「ヒメクロツチ」は『カメムシ図鑑』に記載がなく,情報不足。思いあまって「カメムシBBS」(リンク集参照)に問い合わせた。

ヒメクロツチカメムシかマルツチカメムシか,
どちらかだと思うのですが,参考にできる写真や画像や,
そもそも経験が不足していて判断できません.
よろしくお願いします.

翌日にレスがついた。

Re:Nabita - 2006/05/21(Sun) 20:35 No.1198

yyzz2さん、はじめまして。

(…)

下のは多分ヒメクロツチでしょう。マルはもっと丸っこく、頭部前縁に太い刺毛があります。ヒメクロツチなんて、マニアックな種名よく知っていますね

というわけでありがとうございました。


それにしてもヒメクロツチカメムシの情報がさっぱりない。『カメムシ図鑑』にも北隆館『昆虫大図鑑』にも取り上げられていない。手持ち本で唯一載っているのは北大出版会『札幌の昆虫』だが,これは小型本なので解説がこれしかない。

(1)4〜10月
(2)4.5mm前後
(3)林内の地表,草上
(4)イネ科,キク科

(p.78)

ほぼフルシーズンいることは分かった。他のことは分からない。


学名で検索して,韓国のサイトに画像あり。ところが「ヒメツチ」と「ヒメクロツチ」とが同じ標本写真だ。困ったものである。

さらにネットを探して「イカリ消毒」のHP「これであなたの家から不快な虫がいなくなる」のカメムシの項に「ツチカメムシ」が取り上げられている。ここでも「ヒメツチ」なのだが,生態についてはそれほど変わらないだろうから引用。

ミナミマルツチカメムシ、ヒメツチカメムシは、夏の夜に照明に多数飛来し、屋内に侵入することがある。捕らえると悪臭を放ち、徘徊する虫によって安眠を妨げられたり、時には就寝中に耳の中に入り込んで被害を与えることもある。

寝室によほど大量に侵入するのでなければ耳になんて入らないと思うのだが…。

灯火でツチカメムシを確認したことはわたしはまだない。


ヒメクロツチカメムシ

同年同日。画像が非常に悪い。

脚に棘が生えているのはツチカメムシ科の特徴である。頭から胸にかけても棘がまばらにある。眼が赤茶色。


学名はGeotomus palliditarsus。属名は「geo土,大地+tomus小片,かけら」。属名としては上々。

種小名は「pallidi青白い+tarsus[足付](ふ)節(脚の先のところ)」。画像を見る限り,別段白くない。

○札幌の昆虫;北海道大学出版会


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