06年7月12日。苫小牧市高丘,緑ヶ丘公園。
カメムシに対して「カメムシ科 Pentatomidae 」(五つの部分)のイメージしかないと,ヒメクモヘリカメムシはカメムシには見えないに違いない。きっと「虫」とのみ認識されるのだろう。必要以上に嫌われることがなくて,かえって結構なことかもしれない。
近づいてよくよく見れば,この無邪気な顔つきは明らかにカメムシのそれである。
ホソヘリカメムシ科には,このヒメクモヘリカメムシ以外にクモヘリカメムシがいる。農文教『カメムシ図鑑』では次のように説明される。
体長12−14mm。体は細長く,一見クモヘリカメムシ類に似ているが,頭部と前胸背がほぼ等長なのですぐ見分けられる。 (p.208)
すなわち馬づらである。
ホスト植物も違っていて,このヒメクモヘリカメムシがササ吸いなのに対して,クモヘリは稲の重要害虫であるという。
よく見かけるのは初夏。繁殖シーズンで活動的になる模様だ。
妙なのが葉の上を歩き回っている。
06年6月24日。苫小牧市高丘,緑ヶ丘公園。
てっきり線虫に寄生されているものかと思ったが,「虫@ふたば」で問い合わせると「卵を持った♀」とのこと。それにしても膨れすぎではないか。身の程をわきまえるべきだと思う。
というわけで♂が集まってくる。1頭の♀のいる株に3頭の♂を見かけたことさえある。もともとが群れないカメムシなので,強力に誘引しているに違いない。
06年7月12日。苫小牧市高丘,緑ヶ丘公園。
ぴったりと重なりすぎていて,何だかよく分からない画像になった。5角形のカメムシは互いに逆向きになって尻を合わせる交尾を行う(人間でもそういう特殊な体位があったはずなのだが名称を忘れた)のだが,ヒメクモヘリカメムシの連中は普通に重なるものらしい。
側面から撮ってやろうとごそごそしていると,カメラを嫌がって離れてしまった。顔に似合って淡泊である。
同上。同個体。
この後,このカップルがどうなったのかは知らない。なるようになればいい。
交尾して産卵が夏ということは,秋に幼虫をやって,そのまま幼虫で越冬するのだろう。
クモヘリカメムシだったら,学研『日本産幼虫図鑑』によれば「年2化,成虫で越冬する。(p.89)」。北海道のヒメクモヘリカメムシがそんなにも回転が良いとはちょっと考えにくい。1化に違いない。
06年10月1日。苫小牧市樽前,錦大沼公園。
体の色が黒っぽいのは,幼虫だからというわけではなく,きっと冬仕様。10月でこれでは成虫には間に合いそうもない。
学名はParaplesius unicolor。命名者はスコットカメムシのScott氏と思われる。 属名は「非常によく似たもの」。種小名は「一色の」。
○『日本原色カメムシ図鑑』;全国農村教育協会
(07年12月24日記)
yyzz2;虫画像 虫よもやま